今一度振り返る。 五輪最終予選兼アジア大陸予選(OQT)の結果
◎とても残念な結果から見えるもの (2)
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あなたさんこんばんは。
バレーボールメルマガ(メルバレ)の加藤です。
お元気にされていますか?
先週から、男子OQTを検証しています。その第2段。
とても残念な中で、隠れてしまっている事実、今回のリオ五輪への道を閉ざしたもう一つ忘れてならない大きなマイナス要因。
これ、本当に大きかったと言えると(加藤)が考えていることをお伝えしたいと思います。
全日本男子、2014年南部ジャパンが発足して、当初より選ばれていたある選手で今回のOQTメンバーに選ばれていない選手がいることをお解かりでしょうか。
実はこの選手非常に目立たない存在だったのですが、2014年(アジア大会2位)2015年(アジア選手権優勝、ワールドカップ6位)の好成績にかなりの貢献をした選手なのです。
「牛若丸」
こう名付けるのに相応しい、浅野博亮選手(ジェイテクトSTINGS所属)ウイングスパイカー。
身長178cm、と非常に小柄な選手ですが、全日本の守備力に大いに貢献した選手でした。
実はこの浅野選手、五輪最終予選兼アジア大陸予選(OQT)の直前合宿、5月に怪我をして戦線離脱してしまったのです。
膝の靭帯、半月版損傷と聞き及びます。
彼のポジションは、この低身長ですが、リベロではありません。
なんと、ウイングスパイカーとしての働きを任されていました。
おさらいです。ウイングスパイカーの役割とは、
1、レセプション(サーブレシーブ)を中心的に担う(リベロ以外の選手として)
2、そのレセプション(サーブレシーブ)から攻撃に加わる。
3、上記1,2の観点から相当な機動力が求められる。
例えばコート中央(No3もしくは5)に位置して相手サーブをレセプションしてからフォワードレフト(No4)に移動して、平行トスを打つなど移動攻撃を担うポジションでもあります。
もちろんディグ(レシーブ)→攻撃という動きも含まれてきます。
すなわち守備から攻撃という重要な一連の流れを司る選手(トランジッター:守備から攻撃に転じさせる選手)と言ってよいでしょう。
4、また、後衛のポジションではオポジット(バックの場合)のバックアタックを誘発するため、もしくはセッター(これも後衛の場合)セットアップしやすいように、というかファーストディグ(レシーブ)させないために、または、トスに専念させるためにかなり広い部分のディフェンスを担います。
要するに守備力(レセプションとディグ力)+攻撃の機動力を兼ね備えねばならないポジションなのです。
さて、ウイングスパイカーの役割が判ったところで、先の2014年、2015年の男子の快進撃を影で支えたディフェンスを浅野選手が演出していたことを多くの人は知りません。
かなりの低身長であっても全日本に選出され続けた理由がここにあります。
今回彼の守備力が欠けたことは南部ジャパンにとって大きな痛手となっていたことは間違いありません。
低身長で機敏な浅野選手の場合、大きなハンディがあることは明白(男子選手は2mを超える選手がひしめく現状をよーくご存知でしょう?!)
ですから、攻撃を可能にするためには1m越えのジャンプをする必要があります。
身長2mを越す相手のブロックとのせめぎ合い、またバックでは大男の打ち下ろすスパイクを機敏に拾う(守備の)動きで、かなりのエネルギーを消費してきたに違いありません。
一般的に機敏でジャンプ力のある選手は、そのエネルギー消費量が多く、すぐにバテてしまうという傾向にあります。
なぜなら瞬発系の力を発揮する筋肉繊維(白筋)を多く持っており、それが速く動けるように働くのですが、
その代わりに、大きな力を出す反面、すぐにヘバッてしまうという性質を有しているからです。
※陸上の短距離の選手は何回もレースを行うことはできません、全エネルギーを消費してしまっているので。
恥ずかしながら(加藤)のこのタイプの選手だったと自認しています。
(浅野選手のように能力はありませんでした。)
ですから、このエネルギーが途切れたときのパフォーマンスの低下についてはよく判ります。
肉体の問題ではありますが、メンタル面でも、すっかり集中力が分散してしまって大変なことになりました。
浅野選手もこのタイプの選手です。
また、機敏な動きで移動攻撃を仕掛けたりしますので、無理な体勢で着地することも多く、よく跳ぶジャンプの着地時、落下重力も加わって大変な衝撃が彼の体にかかっていたことは間違いありません。
今回の直前合宿での怪我はそれが起因になっているものと考えられます。
さて、さて(加藤)は彼の活躍を心より願っていました。
それは年々男子バレーボールの選手が大型化する中で178cmという低身長ながら代表選手に選出され続け、堂々と戦力となっていたこと、
また無名大学からVリーグチーム(ジェイテクトSTINGS)に進んで、開花したというサクセスストーリーは、これから高見を目指す、
低身長のバレーボーラーにとって大きな憧れ、勇気となると考えたからです。
間違いなくちびっ子ヒーロー。
こんな世の中の常識から外れた選手がいてもいいと思っていました。
実は、五輪最終予選兼アジア大陸予選に敗れたことと同時にこの浅野選手の離脱というのは(加藤)にとっては大きな出来事だったのです。
ちびっ子の夢がなくなるのでは?本当に心配しています。
小さい選手が活躍できる環境をボクたちは提供できていませんから。
牛若丸・浅野選手の一日も早い復帰を祈るしか今出来る事はありません。
浅野選手のような、体格、体力に勝る選手ばかりが活躍するバレーボール界において、「牛若丸」のように、蝶のように跳び、蜂のように(攻撃・守備)で刺す、選手の活躍を大いに期待したいと思います。
(モハメド・アリ氏の冥福を祈って、彼のキャッチフレーズを使いました、、、)
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