「アタック」と「スパイク」について

加藤 敦志 講師一覧


こんにちは!

今回は、このところ多くの講習会で
質問の多い攻撃についてです。

さて皆さんこの攻撃について、「スパイク」と言いますか?
「アタック」と呼びますか?

本日はそれにまつわるお話です。
よろしくお付き合い下さい。

・普段混同して使っていませんか「アタック」と「スパイク」。

私の経験からどちらの言葉も同一のプレイを指すことが
多いように思います。要するに味方のセッターからの
トスを受けるか、もしくはそのプレイのお膳立てとなる
(味方や相手からの)ボールに対して、ジャンプして、
相手のコートに打ち込む、

もしくは相手に接触させて、3回以上のボール接触で
こちらのコートに返球されないように、ボールを
ネット越しにヒットするプレイのことを指します。

通常は助走から踏み切って、ジャンプして空中で
ボールをヒットして、ネットを越させ、相手に接触させるか、
または相手コート内にボールを接地させる一連の動作:
プレイのことを指すと思います。

私の場合ですが、その時々によって両方の言葉を
使用していたように思います。まぁどちらでも
同義語として扱っていたという具合です。

ところが、ルールブックや辞書によってその語意を
よくよく見直すとその違いは歴然としています。

私はより文意が読み通せるようにFIVB(国際バレー連盟)
が発行する英文のルールブックそして、英英辞書を使って、
時々、バレーボールの動作(プレイ)について定義を
調べてみます。(バレーボールはアメリカ生まれですので、
プレイ、用具の呼び名には英語が使われているところから、
その本質を知るためには英語でのそのものの定義を知る
必要があると思っています。)

■Attack:アタックとは?

All action which direct the ball toward opponent,
with the exception of service and block,
are considered as attack hit

13.Characteristics of the attack hitの13.1.1項に
ある記述です。

「サーブとブロックを除いて、相手に対して直接ボールが
向けられる行為はすべてアタックヒットとみなす」と
なっています。要するに、どのような相手への返球も
アタック(ヒット)だよと言っているのです。

その前提において、
フロントプレイヤーはフロントゾーン内で、どの高さに
おいても可能であるが、バックプレイヤー
(バック・ロー・プレイヤー)は、フロントゾーン以外
もしくはフロントゾーンではアタックを終えるときに
ネットよりボールが出ていないこと、などの制限が
付けられます。

なるほど!では、

■Spike:とは?

To hit a volleyball down and over the net with force
so that it is difficult to return(for opponent player)

スパイクとはボールを強くネット越しに(相手コート内に
相手が)返球困難になるように、接地させることである。
としています。(アメリカ、小学生向けの英語辞書)
(ルールブックにおいては「スパイク」の記述は
あったでしょうか??)

これは、「強打のスパイク」を定義しています。

とするとアタックは(相手に向けられた)攻撃の総称であり、
「スパイク」はその手段の一つであるということが
言えるでしょう。

前回紹介しました福島白河の中学生の生徒さんからの
コメントですが、

「新チームになったばかりで、まだ自分のポジションは
決まっていません。私はレフトアタッカーを目指しています。
私は身長が低いので、もっとジャンプ力をつける努力と
しっかりと手に当ててドライブ(回転)をかけて打つ
といったことを意識しながら頑張りたいと思います。

私は小学校3年生の時からバレーボールをやっています。
でも、1年生にも経験者が3人もいて、3人とも
レフトアタッカーを目指しているので、先輩として、
負けたくないので、もっとスパイクを頑張ります」。
とありました。

この生徒さんの場合、「スパイク」練習ではジャンプ力を
上げることが必要になりますが、「アタック」の練習では
ジャンプは必要十分条件ではありません。身長が低くても
「(効果的な)アタック」できる方法を工夫すれば
よいわけですから、もっと他に選択肢があることになります。

例えば、フェイントであったり、リバウンド戦略であったり、
パスアタックであったり、さまざまに工夫できると思います。

アタック:攻撃の定義も少し解釈を広げてみると
もっと違った「アタック」が生み出せるかもしれませんね。
そうなると練習にも新しいもの、方法が自然に入るという
ことになります。

※この話題は面白いので次にも繋げたいと思います。

このように定義=目的を明確にすることにより、
方法がどんどん創出される、さまざまな工夫を凝らす
ことができることをお分かりもらえればと思います。

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