総括: 2015年男女ワールドカップ
男子大健闘、女子も期待を残した、2015年男女ワールドカップ。
そして、見えてきた日本の課題。-それも男女共通のもの。-
女子が5位、男子が6位。双方とも残念ながら2位以内を確保し、
来年のリオ五輪出場権を取る事はできませんでした。
しかし、しかし、若手の台頭で大変盛り上った大会になりました。
皆様、お楽しみになったでしょうか?
男子第10戦 VSポーランドを生観戦しました。
正直本当に、お、惜しい。昨年世界選手権王者のポーランドに
堂々の戦いを挑み、柳田・石川のヤングコンビが縦横無尽の活躍で
なっ、何と1セット目をデュース27-25で先取してしまった!
これは、すごい。本当に強くなったという実感、そして会場超満員の
雰囲気がそれを後押しします。割れんばかりの声援、声援。
柳田はスパイクスピードの速さ、石川は豊かな滞空力から繰り出す
強打と技。これが素晴らしい。
さあ、2セット目もポーランドに先行されるもじわじわ付いていく。
中盤まで一進一退のつば競り合いだ!
残念。今度はデュースで反対に25-27で落としてしまう。
しかし、ここまで世界チャンピオン相手に互角の戦い。これ評価できる。
目立ったのはかの柳田・石川のヤングコンビのサーブとスパイクはもちろん。
石川のブロック。柳田もここでサーブポイントが欲しいと思ったら正直に
それを見事にやってしまうのです。ここがルックスだけでない真の魅力。
そしてベテラン清水の踏ん張り、勝負ところでスパイクを決めている、
それが後押し。
また、相手ポーランドもサーブミス、ブロックミス(的の絞り方が曖昧、
手の出し方が早いこと。そして、ブロックの態勢でネットと身体のポケットが
大きく開いていて、日本攻撃陣のスパイクを吸い込んでしまう。
これらは、大変有利に!
最終的に、第3セットは21-15、第4セット19-25で終結。本当に惜しい。
強豪国に対しても通用するヤングNEXT4(柳田、石川、山内、高橋選手)の
収穫は大いにあり。本当に立派です。
さて、ここで水を差すようで恐縮ですが、
この大会の間、惜しい試合を幾度も落としたことにスポットを当てて
みようと思いますね。少しお付き合い下さい。
やはり勝敗を分けた、「集・中・力」それも「集中の持久力」不足。
体格、体力、パワーで勝るチームに戦略・戦術や技術の巧みさで勝つには
集中力の持続が課題。勝負どころにその高い集中力を保持できるチームとしての
「体力」をつけなければなりません。そこが現在の日本の生きる道です。
しかし、今はその体力が持続できていません。
先日、奇しくも同時期に行なわれているラグビーのワールドカップが
イングランドで開幕。その緒戦に日本が優勝候補筆頭の南アフリカを
34-32で逆転勝利。史上最大のドラマをフィールドに描きました。
この勝因こそが今のバレーボールの全日本に必要な要素だと思うのです。
その快挙生んだ「2秒」と「90度」
(2015年9月21日 東京新聞17面スポーツ欄より以下抜粋)
『日本代表が歴史的な勝利を挙げた裏側には、ひそかに磨き上げてきた
二つの数字が存在する。<<中略>>他国に比べて体格に劣る日本人が
自分たちの長所に磨きをかけて<<中略>>。その一つが高速展開ラグビーだ。
俊敏さとテクニックでまさる日本人。素早く、正確にパスをまわすことに
活路を見出した。
代表合宿で行なったのは、円形に並んだ選手が、最低でも2秒以内に
隣以外の選手にパスをする練習。円の真ん中で邪魔する選手にボールを
触られずに、20回連続でパスを成功させなければ終わらない。<<中略>>
もう一つはスクラムの強化。辛抱強く、練習に耐える日本人の精神力に
目をつけた指揮官(ジョーンズヘッドコーチ)は<<中略>>低く安定した
スクラムに徹底改造した。スクラムのときに膝の角度を90度から120度に
伸ばすと最も力が出るとし、足の位置を数センチ単位で修正。<<中略>>
この日の先発平均体重が約109キロだった日本が、7キロも重い116キロの
南アに組み負けなかったのは、体に染み込んだ90度のスクラムだった。
これらを可能にしたのは、すさまじい量のトレーニング。
合宿では朝5時におき点お3部練習。今年だけで130日を越える年間の
代表拘束時間はラグビー界の常識をはるかに超える。
「世界のどこよりも厳しい練習を積んできた」<<中略>>
「明確な強化プランが実を結んだ快挙だった」。
さて、この記事の「高速展開ラグビー」を「速攻コンビネーション
バレーボール」に、そして「スクラム」を「スパイク&ブロック」に
置き換えてみると何か全日本のバレーボールに参考になる部分が
見えてくるように思えるのです。
(「力」「平均体重」は「高さ」「平均身長」と読み替えて下さい。)
このゲームの録画放送(日本テレビ)を観ていましたが、アナウンサー曰く、
「誰もが寝ている時間帯(朝5時起床の早朝練習)で努力することが、
誰も為し得ない実力を身に付け、自信に繋がる」とのジョーンズHC語録を
紹介していました。
過去を遡ること約40年前、女子バレーボールが山田監督に率いられて
完璧に近い勝ち方で金メダルをソ連(現ロシア)から取り戻したときの
猛練習を思い起こしました。やはり朝5時に起床してランニングから
1日が始まり、3部練習を課したこと、多々類似点がありました。
これらのことこれからの全日本の強化にとても参考になると思います。
さて、私たち男女全日本バレーボール課題の「集中力の持続」を
どのような強化プラン=戦略で克服してくれるのか、来年の
五輪最終予選(5月)の仕上がりを楽しみにしたいと思います。
上昇気流のきっかけをつかんだ全日本を来年も応援して、
リオ五輪出場に押し上げましょう。
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◎読者からのご質問に答えて
は今週お休みします。ごめんなさい。
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