バレーボールQ&A-皆さまのお悩みにお答えします

加藤 敦志 講師一覧


 

今週から、表題のように「皆さまのお悩み」にお答えする
ことを中心とした形も採用したいと思います。指導・
コーチングの現場で少しでもお役に立てればとの
思いです。よくよく内容を吟味をしてもらい、
実践されることをお願いします。

それでは今週もよろしくお付き合い下さい。

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◎「スパイクのパワーをつける」について

以前よりご質問がありましたこのテーマにつきまして、
「抽象概念:大きな考え方」と「具体的な方法」の
中間に位置するいわば「具体的な練習方法への発想の素」
になるようなお話を進めます。

特に練習内容を計画、企画されている方々;指導者・
コーチの皆様にとって、練習を組み立てる着想の
手助けになれば幸いです。

(これらは、私の長いバレー指導・コーチングの中で、
諸先輩が考え実践されていたもの、そして、それに
私のオリジナルを加えたものなどとご推察下さい。
また、ランダムに並べますのでご容赦下さい。)

【キーフレーズ】

1、スパイクの威力は、ボールを打った時の初速が速いこと。

2、アメリカでは、肩が強いと言わず、腕っ節(うでっぷし)
が強いと言う。

3、踏み切りのリズムとスイングの速さは比例する。

1、の項目について。
これは、昨年の公認スポーツ指導者講習会で、講習された
研究内容で明らかにされたものです。その時の中心の話題が、
「決まるスパイクとは」「スパイクが重いとは」ということでした。
(以前にもご紹介した通りです。)

今回のテーマである「パワー」と「速さ」=スピードの相関関係は
どうか、少し疑問を持たれている方もいらっしゃいますね。これを
クリアにする、あるTVの報道番組がありました。
(最近、大きな災害を出した台風26号による伊豆大島の地滑りの
メカニズムの話の中にありました。)

速度の2乗=破壊力(パワー)

当地の火山灰層が雨によって滑りやすくなり、
それも通常の土壌よりも滑りやすいことで、
あれだけの被害が出たそうなのです。

そしてその地滑りの速度が速かったために、
被害が増したとも言っていました。
(今回の台風で被害に遭われた方々に
哀悼の意を深く表します。)

さて、この物理論理:速度の2乗=破壊力(パワー)は、
スパイクのパワーの話に通じます。

スパイクのパワーを上げるには、スパイクのボールの
スピードを上げること。そして、そこでポイント
になるのが、1、で紹介した「初速を上げる」
こととなる訳です。

では具体的にはどうすればいいのでしょうか。
ボールはそのものに力;パワーを持っているわけでは
ないので、そのボールに力を伝える動作が必要になります。
それは、

スパイクスイングを速くすることです。

では、スパイクスイングのどこをスピードアップすれば
いいのでしょうか?

以前にご紹介した、次の説明を思い出して下さい。

スパイクのスイングの一連の流れ:
A.テイクバック
B.シフト
C.スイング(フォワード)
D.ヒット(ボールコンタクト、打つ)
E.フォロースルー

そうです、ボールを打つ直前のC.のスイング(フォワード)
の動作が速いことが解となります。

ですから、練習ではスイング(フォワード;前に向うスイング)
を早くするようにします。

その考え方ですが、ウエイトトレーニング(レジスタンス:
重さの負荷を筋肉にあたえるトレーニング)では、

1.重いものを持つ(負荷を大きくかける)と
動きは遅くなります。

2.また、軽すぎるものを持っても(負荷が小さい)
力が空回りして速くは動かせません。

3.重くもなく軽すぎることがない重さ(適度な負荷)が
「速さ」を産むことがわかります。

一度皆さん実践してみて下さい。
またこれを、筋肉レベルでこれを言うと
1.の時は非常に筋肉が硬直しています。

2.の時は逆に緩みが大きいでしょう。

3.は、筋肉の収縮がバランスよく、いわゆる
「弾力性のある」状態になっています。

この観点から、筋力トレーニングもしくは
技術トレーニングを組み立てていく必要があります。
要は、選手の皆さんに「筋肉の硬直を与える負荷を
かけすぎない」ことが、練習の組み立てのポイントに
なるのです。

来週もこの話題を続けます。

◎全日本男子への応援歌No5

全日本男子は、9/28(土)~10/6(日)第17回アジア
男子選手権大会 (ドバイ、アラブ首長国連邦[UAE])
にて4位という成績を収めました。これは決して
満足のいくものではないはずです。優勝したイラン
とは準決勝で3-0の完敗だったようです。
(スコア上の推察です。)

先の世界選手権予選で本戦への切符を取れず、
今回の結果と合わせて、「大丈夫か」との声も
相当あるでしょう。

しかしながら、私はこの戦績を糧に次のステップに
上がるこのチームの可能性を見たいと思っています。
何度も申しあげますが、チーム作りは一長一短には
進みません。史上初の外国人監督、スタッフで
臨むのですから、そのコンセプト(考え方)
浸透にも時間がかかります。

今が我慢のしどころ、ここでその路線を変更して
しまったら今まで積み上げてきたものが水泡に
帰することになりかねません。

来月開催されるワールドチャンピオンズカップ
(大陸王者決定戦)で、地元開催国で参加する
全日本男子には、今まで積み上げたものプレーを
一つ一つ見せて欲しいものです。例えそこで結果が
出ずとも、一瞬一瞬のプレーに光るものであること、
ファンの期待を寄せるものであって欲しいと思います。

「Play hard, Play smart」

そうです、このモットーを忘れないように!
それ行け!ゲーリー全日本。

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【編集後記】

筋肉の硬さが動きのスピードを出す、の話について、
こんなこともありますよね。

叱られている時は気持ちが縮こまる、顔がこわばる、
身がすくみます。これは筋肉が硬直している証拠。
それでは逆に褒められたで気持ちがすっきりしている
ところはどうでしょう。

鼻歌が思わず出たり、軽口(ジョークなど)も飛び出し
ますよね?それは頭が働き、口の筋肉が上手く動いている
状態ですね。こんな気持ちの変化に応じて筋肉の状態も
変わることになります。

サッカー女子なでしこジャパンの佐々木監督は選手が
一番緊張する場面でジョークをいって笑わせていました。
皆さんはこの事実をどう思われますか。
「筋肉の硬直を与える負荷を、精神的にも、かけすぎない」
が大切かも。

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