【バレーボール】チーム全体でサーブ力を高める方法の事例紹介
前回の「バレーボールのサーブ練習をチームでおこなう際に重要視すべき3つのポイント」にて、チーム内でのサーブの「目的」を明確にする必要性を述べさせていただきました。
今回は、それを実践してサーブ強化を図り、チームの強化をしたVリーブのあるチームの事例を紹介します。
これからのチーム強化のためには、サーブ強化が必要と考えられえている方はご参考にしてみてください。
「サーブ=メンタル」ではない!
今回紹介する事例は、2017年にVリーグを制覇した「東レ・アローズ」の小林敦監督のサーブ強化を図った内容です。
小林敦監督は、2012年の就任から、Vリーグを制覇するためには、「サーブの強化しかない」と判断され、選手たちには「ミスしてもいいから、とにかく自分が打てる最高の強いサーブを打つこと」を言い続けて、練習も特化していました。
その背景には、「サーブ=メンタル」であると小林敦監督は考えられていたからです。
そのため、「サーブミスをリスクとせず攻める」と言うことで、選手のプレッシャーも減って、サーブ力も向上すると考えていました。
しかし、それで誤算が生じています。
それは選手たちが逆にプレッシャーを抱えてしまったのです。
なぜそうなってしまうのか、選手がサーブをミスしても「いいよ、どんどん攻めていこう」と指示するばかりで、具体的なポイントを指示するわけではなく、そのうち選手たちが「いいサーブが打てない。ミスばかりでどうしよう。」と逆にプレッシャーを感じることとなったのです。
このような事例は、各チーム内でもよく起こり得る内容でしょう。
では、どのように克服していったのでしょうか。
「リスクを減らしたサーブ」へ「目的」を変更する必要性
まずは選手たちがプレッシャーを感じる環境を取り除くところからスタート。
「サーブで攻める」という目的を撤回して、「リスクを減らしてサーブは入れる」とサーブの目的を変更するところから始めています。
チーム内の目的を明確にすることで、選手のプレッシャーを取り除くことができ、サーブミスによる失点が減少、もともとブロック・スパイク力は高いチームであったので、勝ち星を重ねることができたのです。
目的を変更したシーズンは3位、翌年シーズンも4位という結果を残しており、サーブに対する「目的」を明確にしたことで、チームが勝利する流れになってきたということができます。
「目的」は常に更新し続けることが必要である
「リスクを減らしてサーブを入れる」へと目的を変更したことで、チームが勝てる。
小林敦監督もサーブの強化にこだわらなくても勝てると思った矢先、その翌年のシーズンは7位と低迷してしまいます。
そこで、サーブの目的を改めて、サーブの強化を進めることとなります。
但し、以前と違う手段を小林敦監督は取っています。
以前は、
- ミスしてもいいから強いサーブを打っていこう
という取り組みでしたが、今回は、
- 「鈴木悠二と二コラ・ジョルジェフ」サーブが強い2人をメンバーに入れる
というサーブの強い選手を入れるという手段で強化を図りました。
結果、このシーズンはファイナルランドまで進み、王手まであと一歩でしたが敗戦しています。
プロの試合です、2人だけサーブが強くても最後までは通用しなかったのです。
そして、目的を「チーム全体でサーブ力を高める」へ更新します。
その手段として、取り組んだのが「ジャンプフローターサーブ」です。
各選手たちの助走・スピード・打点といった面を分析し、その選手にあったフォームを導き出し、徹底して取り組んだのです。
その結果がVリーグ制覇へとつながり、各チームのリベロプレーヤーからも東レのサーブについては、
「サーブの精度が他チームとは比べものにならないし、全員が自信をもってサーブを打ってくる。間違いなく東レのサーブがリーグナンバーワンである」と言っています。
チームの状況によって目的を常に更新し続けて、手段を決めて、とことんまで練習を繰り返すことで自信となり、結果に繋がっていく事例ですね!
まとめ
今回はサーブ強化を実践するための事例、Vリーグの東レ・アローズの例を紹介しました。
ポイントになるのは、
- 「サーブ=メンタル」ではないということ。
- サーブの「目的」を変更することも大切である。
- 常にサーブの「目的」は更新し続けなければならない。
小林敦監督の特徴は、バレーボールを科学的に分析する、データ分析をする能力が長けていると思っています。
現役時代から、身長はさほど高くない中で、ミドルブロッカー(センター)の選手でしたからね。
チームづくりも勉強になる点が多いので、また紹介していきますね!
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長崎県出身で、現在は京都市在住。子供3人の父親。中学校から友人たちとバレーボール部に入部。ポジションはセッター。高校時代所属バレーボール部は長崎県ベスト4他、九州大会出場2回、九州大会準優勝1回と実績を残すが、私自身はベンチメンバーでした。部員人数も少なく、オールラウンドとして控え要員とともにマネージャー的な存在でもあり、また他チームの選手分析および戦術分析など経験。その経験から得たことや皆さんに役立つバレーボール情報を提供してききたいです。また現在はママさん方とバレーボールを楽しんでおり、子供から大人の方々まで「バレーボールは楽しいスポーツ」であると伝えていきたいです。
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